『親』の理屈

保育園で子ども同士のトラブルがあった時、「やられたらやり返しなさい」と我が子に教えているお母さん達がいます。それでいいのか疑問を感じます。

どうしてこんな極端な事を子どもに教えてしまうのか考えてみましょう。

言葉で上手く伝えられない子ども同士のトラブルには理由が有ったり、無かったり、故意にしたかどうかも含めて色々です。
しかし、子どもの世界で起きることはとても単純な事が多いのでそのままを受け止め、大人の感情や理屈で複雑にしないことが重要です。

例えば、子どもが「〇〇君にたたかれた-」と保育園から帰って来たとします。
この時の子どもの気持ちは「痛かったよー、〇〇君嫌い!」と単純に嫌な事が起きて対応出来なかったことだけを訴えています。

しかし、それを聞いた親は一瞬のうちに色々な思いを巡らせます。「どうして叩かれたの?」「痛かったでしょ」と可哀想な思い。
「何も出来なかったのかな?」「無力だった・・・」と悲しい思い。「一方的に叩かれた!」と悔しい思い。この複雑な思いが絡み合った結果、単純に腹を立て、親の理屈で「やられたらやり返しなさい」と暴力的な解決法を口走ってしまうのでしょう。
きっと、このような状況を直接見ていたとしたら「やり返しなさい」とは決して言わないでしょう。むしろ二人の間に入り言葉のやり取りを丁寧に教え関係修復の手助けをするのではないでしょうか。

子どもが「叩かれたー」と訴えるような時にはお母さんが感情論で「やり返し」を教えるのではなく冷静に子どもの気持ちを受け止めてください。「そぉ~、急に叩かれてビックリしたでしょ。それは痛かったね」と。それから「〇〇君はどうして叩くのかな?」とゆっくり相手との関係の中で起きている事を考えさせ、その場で「やめて!」「いたいよ!」「たたかないで!」等、本人が言える言葉を確めます。
そして少しでも言えそうな言葉を探し出し、それが言えるように繰り返し練習することです。挨拶のようにパターン化していない言葉は咄嗟には言えません。日頃から練習をすることで同じような場面に出合った時には自分の言葉で意思表示をすることが出来るようになります。そして話し合いで分かり合えることを学びます。

親は子どもが自分で対応できるコミュニケーション力を育てなければなりません。
それは将来に繋がる大事な「生きる力」を育てることなのです。

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