『ウソ』をつく
子どもがうそをついた時、親は頭ごなしに「何でうそつくの!」「うそついたらダメでしょ!」とか「うそつきは泥棒のはじまり」と憤慨し怒りますが、それだけで終わらせるのではなく子どもが本当の事を話させるように導いてあげなければなりません。
ここでは、3才の娘と父親の話を紹介します。
オモチャで遊んでいた娘がテーブルでお茶を飲んでいたお父さんに「〇〇ちゃんもお茶のみた~い」と訴えます。お父さんは「自分のコップを持っておいで」と促します。娘はお父さんの手元にコップを差し出します。お父さんがお茶を注いだ瞬間、娘は他の事に気をとられコップを持っていた手が揺ぎました。「あっ!こぼれる」というお父さんの声に驚き、娘は自分の手元を見ます。お茶は床にこぼれています。予期せぬ出来事に動揺した娘はとっさに「お父さんがちゃんと入れないから」と不満気につぶやきました。そう言われたお父さんは穏やかに「あれ?そうかなー、よ~く考えてごらん」と娘に問い返しました。
この時、お父さんは明らかに娘がうそをついていると知りながら「それ、うそでしょ」「うそついてるよ」とは問い詰めませんでした。
それは娘自身が「自分のしたことを人のせいにするのは悪い事」と気付いてほしかったからです。
お父さんに問いかけられている間、娘は「ちょっと悪いことをしたかな?」と感じていたことでしょう。このタイミングでお父さんが一方的に怒ったり、責めたりしたら折角向き合おうとしている気持ちが失せてしまいます。逆に自分を守ろうと意地を張り「うそ」をつき通すことになりかねません。
そうならないようにお父さんはゆっくりした口調と優しい眼差しで問いかけをしています。そのため安心して娘は正しいことを素直に考えようとします。
よ~く考えた娘はちょっと照れくさそうに「ちゃんと見てなかった」と、お父さんに答えました。お父さんは娘の頭を撫でながら「本当のことを話せて偉かった」と誉め、お茶を注ぎ直しました。
本当のことを話すには少しの勇気が必要です。日頃からお父さん、お母さんにかけてもらう誉め言葉が勇気を与えます。
その時々に誉められた経験が次の「うそ」を無くすことに繋がります。