忘れない言葉

我が家の息子が高校生になった頃でした。

いつものように部活を終えて帰ってくる息子の時間に合わせ、
私は急いで帰宅しました。

「今日は遅くなったからカレーにしよう」と決めて支度を始めました。

帰ってきた息子は喜んでカウンターに座り今日の出来事を話しながら食べ始めました。

「ヤレヤレ間に合って良かった~」と私はホッとしながら「今日も1日無事で何より」と胸を撫で下ろしました。

息子は「ご馳走さま!」の挨拶と同時に「今日のカレー、何かスパイス足りないんじゃない?」と私に問いかけてきました。

思いもよらぬ質問に私は「えっ?いつもと一緒だよ」
「何が足りない?」と咄嗟に聞き返しました。

息子はぷフッと笑みを浮かべながら「愛情?愛情のスパイスだよ」と、冗談気味に答え、席を立って行きました。

あの頃、私は仕事の量を増やしたばかりで忙しくしていました。そんな母親へ洒落た苦言をしてくれた息子の言葉を今でも忘れることはありません。

母親の愛情はいつでもどこでも何にでも振りかけられる特別なスパイスなのだと教えられた一言でした。

そんな息子も今は家庭を持ち、様々なスパイスの入った本格派カレーを時々作ってくれます。

これはたっぷりの「思いやりスパイス」入りかな?と苦笑しながら美味しく頂いています。

今年も残り僅かになってきました。皆さんも一年を振り返り、心に残る言葉を探しながら大掃除頑張ってください。

そして、気持ちの良い年をお迎え下さい。

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